おとなのジャズとおとなのオーディオ

羊じゃなくってわるかったにゃ〜

     

謹賀新年

東北の南にA市という街がある。 その街に老舗のO電気店がある。 これは、その店でオーディオの販売をしている男のつぶやきとささやきとひとり言である。

     VOL.44

 ブルーノートの4000番台

みなさん、明けましておめでとうございます。いい年をお迎えになったことと思います。私は仕事で12月31日までめいっぱい働き、元旦のみ休み、すぐに2日から初売りとあわただしい年末年始でした。
ま、今に始まったわけでもないので慣れてはいるんですが。それにしても最近の小売業界は元旦から初売りを始めるところが多くなってきたようです。不景気な折、販売競争も熾烈さを増しているからかもしれません。また、消費者も元旦から動き始める方がいるようです。かつては、家族で団らんの1日だったんですが、諸事情でそうもいかなくなり、ジャズの世界同様、世相も変わってきたようです。
さあ、今年もジャズを楽しみましょう。今年初めの特集はVOL.41に続いての「ブルーノートの4000番台を楽しもう」です。え、聴き飽きた、そんなこと言わないでブルーノートの黄金時代のですからお正月ぐらいのんびりと聴きましょう。例によって独断と偏見でのセレクトです。果たして何枚紹介できるのかなあ?

BLP4009
BST84009

ブルーノートの4000番台はソニー・ロリンズの「Newk's Time」 BLP4001から始まりました。もちろんこの頃の録音はモノラルでした。それが途中からステレオになっていったんです。それは、また番号の付け方が変わり、BST84258〜84901になります。全部で899枚が制作されたようです。すべてはまず無理なので、主に4100までの中からの紹介です。

まず、始めに紹介するのは、超有名盤からです。やはりこれを紹介しないとブルーノートではなくなっちゃいますからね。ピアノのバド・パウエル「ザ・アメイジング・バド・パウエル/ザ・シーン・チェンジズ」です。メンバーはバド以外にポール・チェンバース(b)、アート・ティーラー(ds)のピアノトリオです。全部で9曲収録されています。

もっとも有名なのが「クレオパトラの夢」でジャズの好きな方以外にも耳にしたことのある人は大勢いるんじゃないかな。大変おぼえやすいピアノによる哀愁のメロディーで始まります。ミラクル・ピアノメロディーだだ。続いての「デュイッド・ディード」、これも、たいへんマイナー調の曲で、聴きやすくなっています。5曲目の「ボーダリック」は自分の子供のためにつくった曲といわれている。

タイトルの曲「ザ・シーン・チェンジズ」、ピン・ピ・ピ・ピ・ピーンという甲高いピアノから始まって早いテンポで同じようなフレーズが出てくる。演奏のバックには、なにやら歌っているような声が一緒になって聴こえてくる。彼は持病として精神的な病気を持っていたが、このときはかなり好調なときであったらしい。また彼は、この2年前に弟をクリフォード・ブラウンと共に交通事故で亡くしていた。

全曲そうであるが、ほとんどソロでのぶっ通しでの演奏で、それもアップテンポである。モダンジャズ・ピアノのバイブル的な存在。バックのベースとドラムスが心地いいスウィング感とともに、切れのいい演奏でサポートしています。永遠の名曲になりそう。1953年の「ウン・ポコ・ロコ」から続いたアメイジング・シリーズの最終バージョンとなっている。1958年11月のルディ・バン・ゲルダ−による録音。

BLP4040
BST84040

トランペッター、フレディ・ハバートの初リーダーアルバム。「オープン・セサミ」。メンバーは彼のほかに、ティナ・ブルックス(ts)、マッコイ・タイナー(p)、サム・ジョーンズ(b)、クリフォード・ジャーヴィス(ds)となっている。最初の曲がタイトルの「オープン・セサミ」、ピアノの前奏からマイナー調の哀愁のあるトランペットのハイ・トーンのメロディーで始まっていく。はりきって吹いているという、フレッシュな実感が感じられるアルバムです。3分を過ぎたあたりからティナ・ブルックスのサックスが入っていき、これもまたいい演奏だ。そしてマッコイ・タイナーのソロへと移り、最後はテーマのメロディーにに戻ってのエンディングとなる。

次が「バット・ビューティフル」、ゆったりとしたきれいなバラード演奏。3曲目が「ジプシー・ブルー」。日本人好みのマイナーなフレーズが、口ずさめるようなメロディーがいっぱい出てくる。聴いていると誰もがノレそう。2分を過ぎたあたりから、サックス、ピアノ、ベースの順でソロを展開して、はじめに戻る。

他に「オール・オア・ナッシング・オール」「ワン・ミント・ジュレップ」「ハブズ・ナブ」と、6曲が入っている。溌剌したフレディ・ハバートのトランペットとティナ・ブルックスのサックスが聴けるごきげんなアルバムだ。録音の当日は8回のティクがあって「オープン・セサミ」と「ジプシー・ブルー」にアルタネイト・ティクがあります。1960年6月の録音。

BLP4044
BST84044

 

思わずジャケット買いをしてしまうようなアルバムです。ザ・スリー・サウンズ「MOODS」ムーズです。ジーン・ハリス(p)、アンドリュー・シンプキンス(b)、ウィリアム・ドゥディ(ds)のトリオでの演奏です。1960年6月の録音。なんとこのときは、録音されたティクが16もあったんですが、その中から、8曲が収録されています。他の曲はBLP4072に収録。

スタンダードな曲がおもな構成です。始めが、「ラヴ・フォー・セール」、ラテンタッチのリズムで軽快な演奏が楽しめます。曲の初めはベースのソロが意外と長いのであれ?なんて思っているところにピアノのテーマが入ってきます。デュ−ク・エリントンの曲「昔は良かったね」では、ゆったりしたバラードになっています。ちょっと重いようなピアノの演奏が特徴だ。ドラムのリズムがおもしろい。後半からはスウィングしながら盛り上がっていく。

「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」、ゆっくりとしたリズムを刻むベースとドラムをバックにピアノがメロディーを演奏していく。意外とシンプルな演奏だ。「ルーズウォーク」、快調なテンポで演奏するピアノが聴ける。なかなかのりのいい、明るい演奏が楽しめる。ちっともルーズではない。6曲目の「アイム・ビギニング・トゥー・シー・ザ・ライト」では、手拍子のリズムをバックにした、おもしろい演奏が聴ける。「タミ−ズ・ブルース」、タミ−とは、ジーン・ハリスの娘の名前だそうである。ドラムとベースによる叙事詩的な出だしとエキゾチックでもあり幻想的な演奏は、今まで聴いてきた演奏とは趣が違う。


アルバム全体にラテン・パーカッションのリズムとピアノのノリのいい演奏でライブだったら手拍子がでるんじゃないかな。ちなみにジャケットの写真のモデルになった女性は、ブルーノート・レコードの主宰者アルフレッド・ライオンの奥さんだそうです。男心をそそる表情のいいジャケット写真だ。このスリーサウンズですがアルフレッド・ライオン氏からだいぶ気に入られたと見えて録音したアルバムは20枚ぐらいあると思います。ジミー・スミスと共にB・Nの看板アーチストだったのです。

BLP4052

男はこういうアルバムを聴かなくっちゃ!なかなか世にでなくて幻のアルバムといわれたティナ・ブルックス(ts)のアルバムです。ジャケットの写りはなかなかのいい男だ。3度目のリーダー・アルバム「バック・トゥー・ザ・トラックス」です。メンバーは、ブルー・ミッチェル(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ケニ−・ドリュ−(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ティラー(ds)。

タイトル曲の「バック・トゥー・ザ・トラックス」、2ホーンのユニゾンによるテーマの切れのいい出だしだ。若干かすれのあるティナのサックスのリズミカルなプレイ、ブルー・ミッチェルの切れ裂くようなトランペット、そして、ケニ−・ドリューのピアノとソロが続いていく。録音の古いせいで、ピアノの音が余りよくない。しかし、演奏の良さがそれを補ってくれる。みんな若さがいっぱいのエネルギッシュなプレイだ。最後は再び2ホーンによるテーマの演奏でフェードアウトとなる。

2曲目の「ストリート・シンガー」は、このときの録音ではないと思う。この日はこの曲を除いた4曲が録音されたことになっている。ジャッキー・マクリーン(as)のリーダーアルバムとなっているようである。哀愁のある演奏だ。これも2ホーンによるすばらしい演奏が聴ける。ティナ・ブルックスや各ホーンが思いっきりブロウしているソロのところなんか最高。この頃のケニードリュ−、ソロパートでもいいスウィング・プレイしているし、前曲と同様、最後はテーマに戻ってのカデンツアを迎える。

他に「ザ・ブルース・アンド・アイ」、バラードの「フォー・ヘブンズ・セイク」、このアルバム唯一のバラード。繊細感のある演奏ではなく意外におおらかな演奏と思う。そして最後はエキゾチックな演奏で人気のある「ザ・ルビー・アンド・ザ・パール」となっている。1960年10月録音。

BLP4003
BST84003

A NIGHT IN  TUNISIA

BLP4049
BST84049

ジャーン!でました。強烈なインパクトのあるジャケットのアート・ブレイキ−の写真です。CDでは伝わってきませんね、この迫力は。チャット間違えばモンスターになるところだ。失礼。アナログ・レコードでは実物大で迫ってきます。アート・ブレイキー(ds)とジャズ・メッセンジャーズ「MOANIN’」モーニンです。メンバーにはリー・モーガン(tp)、ベニ−・ゴルソン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)となって1958年10月の録音です。作曲はピアノのアート・ティタム。

タイトル曲は、モダンジャズの黄金時代の大ヒットアルバム。録音されてから3年ぐらいたって、当時国内のラジオのリクエスト番組でもよく流れた曲という思い出があります。1961年に来日コンサートで演奏し、俗に言うファンキーブームの幕開けでした。当時ラジオからジャズなんてめったに流れなかったときである。鈴木章二の「すずかけの道」がよく流れたぐらいだったと記憶している。スバル360が大衆車として売れていた時代だ。

このアルバムによって俗にいうファンキーブームという言葉の幕開けとなって新聞でも話題になったそうである。。私自身はこのファンキーという意味はよく知らない。ブラック・ファンクからきたみたいで、黒人文化を言うらしい。演奏的には、グルーヴ感があってノリのいい演奏を指すみたいだ。

ジャズメッセンジャーズにおいても、何回かのメンバーの変更はあったんですが、このときもベストメンバーだ。タイトル曲の「モーニン」、テンポがよく、ノリもよく、自然に体が動いてしまうような、グルービー感覚だ。なんといっても出だしのピアノがいい、絶妙なフレーズだ。ホーンセクション、リズムセクションが一体になって押しよせてくるサウンドの洪水、覚えやすいフレーズ。ピアノのボビー・ティモンズのオリジナルだそうである。テーマからソロに移る。トランペット、テナー・サックス、ピアノ、ベースの順で、再びテーマに戻る。バックのドラムが、それ行けとばかりに強烈にバックアップ。このアルバムはこの曲、1曲だけでも持っている価値はあると思う。

「ブルース・マーチ」、これもモーニン同様ノリのいい行進曲で、大ヒットした曲。メンバーそれぞれのソロも聴きモン。そして、すごいタイトル「ザ・ドラム・サンダ−・シュート」は曲名同様、ドラムの雷だ。三つのパートの組曲になっていて、ファーストテーマの「ドラムサンダー」は、雷にたとえると、ゴロゴロがドラム、稲妻がリーモーガンのトランペットとベニーゴルソンのテナーサックスだ。セカンド・テーマの「クライ・ア・ブルー・テェア」、これも雷か?と思っちゃうでしょうが、ガラット変わるんです。チャッチャカというリズムをバックにトランペットとテナーのユニゾンによる、いいメロディーが流れる。全曲ぶっ通しで変化があって存分に楽しめるアルバム。アートブレーキーとジャズメッセンジャーズの傑作だ。

このジャズメッセンジャーズのアルバムにおいては1954年の「バードランドの夜」、1955年の「ザ・ジャズメッセンジャーズ」、「ホレス・シルバー&ジャズメッセンジャーズ」、そして、「チュニジアの夜」、これは1960年8月7日と14日の録音で、フリージャズの兆しが聴けるアルバムだ。メンバーこそ少しずつ違っているが、また、その違っているメンバーもいいんです、ぜひ聴いておきたいアルバムだ。

BLP4114
BST84114

ボサノバのアルバムです。1950年代の終わりごろにブラジルでアントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトといったボサノバという音楽を新たに作った人たちの影響で世界中がボサノバ・ブームになったんです。なんといっても有名なアルバムは「ゲッツ・ジルベルト」です。サックスのスタンゲッツとアストラッド・ジルベルトの歌で大ヒットしたんです。今では夏になると必ずボサノバのアルバムが出てくるのが定番のようです。

その波は当然またたく間にジャズの世界にも押し寄せてきます。そんな中で出来上がったアルバムが、このアルバム「ボサ・ノバ・ソウル」テナーサックスのアイク・ケベックのリーダーアルバムだったのです。メンバーはケニ−・バレル(g)、ウェンデル・マーシャル(el b)、ウィリー・ボボ(ds)、ガービン・マッソー(chekere?なんだこの楽器は?)となっています。全部で9曲が収録されている。

始めの「ロリエ」、アイク・ケベックが奥さんのために作ったといわれる。すごくロマンチックな曲で、また、ソフトで耳あたりがいい。彼のテナーサックスは太いサウンドながらやわらかいのが特徴で聴きやすいです。このような曲を贈られると奥さんに限らず、世の女性はころっていっちゃうんだろうな。3曲目には「家路」が入っている。ドヴォルザークの曲だ。メロディーをサックスがたどる。中ほどでケニ−バレルのスウィングするギターが心地いい。癒し系だ。エンディングは、はじめのテーマにサックスが戻ってフェードアウト。

「ミーン・ユー」、アイク・ケベックのオリジナルだがこの曲も、なめらかできれいなメロディーだ。チーク・ダンスでもしたくなるようだ。かすれぎみのサックスがなんともいえない心地よさ。ボサノバでは無理か。3分過ぎたあたりからギターが入ってくる。これがすごくいい。体が自然に動いていく。次は「愛の夢」リストの曲だ。このアルバムはボサノバのスタンダードものがなぜか入っていない。これもケベックの考えか。

「シュ・シュ」、ギターのイントロで始まる、この曲もまた、きれいなメロディーを持っている。アーチストってみんなロマンチストな一面があるなあ。普通のボサノバのアルバムだとリズムと共に、けだるさ、アンニュイみたいなものを感じるんだが、このアイク・ケベックのアルバムにはそれがない。すごくメロディーがきれいで心を打つところがある。彼はこの年なぜか5枚もの録音をしている。ただ、リジェクトになっているのもある。そして彼はこのアルバムを作って2ヵ月後に病気で亡くなっている。1962年.10月の録音。12ティクの中に「ロイエ」「シュ・シュ」「ファヴェーラ」にアルタネート・ティクが3曲ある。

BLP4059
BST84059

ピアニストのケニ−・ドリュ−がデンマークへ移住する前の年のアルバムでクィンテットでの演奏。「アンダーカレント」。1960年12月の録音。メンバーはフレディ・ハバート(tp)、ハンク・モブレ−(ts)、サム・ジョーンズ(b)、ルイス・へイグ(ds)となっている。

タイトル曲の「アンダーカレント」、最初からかなり速いテンポでの演奏、ドラムとベースのリズムセクションのリードで始まる。快調にとばすサックスのソロ、続いてトランペット、パ・パ・パ・パ・パとすごく切れのいいフレーズだ。そこにリーダーのドリュ−のピアノの出番となる。とにかくこれ以上のスピードは出せないといった感じでの熱くなる演奏だ。もうそのあとは入れ替わり、全員が猛烈に突っ走る。現在のライブだったら観客は総立ちだ。ドリュ−のハード・バップが聴ける必携盤。

次は「ファンク・コシティ」。このアルバムは2ホーン構成である。その2ホーンによるメロディアスな演奏で入っていく。サックスのソロ、そして、ドリュ−のソロと、快適な演奏だ。ファンクと付いているだけにミディアムテンポでなかなかのれる演奏だ。再び2ホーンに戻ってのエンディング。

最後の曲は「バラッド」、曲名どおりバラードである。ピアノのロマンチックなイントロからトランペットのソロが入っていく。ゆったりと尾を引くようなメロディー。そしてピアノソロ、このソロを聴くと80年代にケニ−・ドリュ−・ブームが起こったのを思い出した。華麗で知的なピアノの感性はすでにあったんだ。このアルバムには紹介した以外に3曲が入っている。

これまでにはトリオでの演奏が多かったんだが、このクィンテットでのアルバムもドリュ−のハードバップが聴ける、すばらしいアルバムだ。全曲が彼の曲だ。彼はこの後、ヨーロッパはパリに渡り、ハウスミュージシャンをし、その後はデンマークのコペンハーゲンを活動の場にしてアメリカへは帰らなかった。

BLP4046
BST84046

 

今度のアルバムもピアノです。1960年8月の録音アルバムで、「フライト・トゥー・ジョーダン」デューク・ジョーダン(p)のリーダーアルバムです。メンバーです。ディジー・リース(tp)、スタンリー・タレンタイン(ts)、レジ−・ワークマン(b)、アート・ティラー(ds)。ここに収録されているのはすべて彼自身の作曲になっている。

タイトル曲の「フライト・トゥー・ジョーダン」、24ビットRVG盤では真中からピアノの軽やかなイントロから、同じく真中からホーンのユニゾンで、ファンキーなテーマに入っていく。ソロは輝く音色のトランペットが右側、次の太いサックスのソロは左側からといった音像の定位となって出てくる。ピアノソロは、見事にスウィングしながら進んでいく。ラストは再びホーンのユニゾンでエンディングとなる。

2曲目の「スター・ブライト」、バラードである。トランペットとピアノそしT、テナーサックスで綴られた、きれいな曲だ。澄み渡った空に、どこまでも届くかのような、響き渡っていくトランペット、ピアノソロも引き継いでゆったりと、ポロポロとソロを奏でる。そして太く甘い音色のサックスのソロへと移っていく。ラストは再びトランペットのメロディーでエンディング。1曲目からの演奏の段差が大きく、変化をもたせた印象をもたせる曲順だ。

こういう構成で行くと3曲目は、堂々としたバップ。ミディアムテンポで演奏される2管によるものだ。ミュートをつけた、トランペットのラジオ的な音色がおもしろい。曲名は「スクオーキン」。次が「ディーコン・ジョー」。ピアノがバースを演奏し、2ホーンのユニゾン。それからそれぞれのソロパートとなる。

そしてなんといってもこのアルバムのハイライトは最後の「シ・ジョヤ」だ。フランス映画が華やかし1960年代、ロジェ・パディム監督の映画「危険な関係」のテーマ曲だった。後にこの曲のタイトルも諸、事情によって「ノー・プロブレム」となる。シンバルのリズムと共に、トランペットが哀愁のメロディーと共に、スリリングな感じを持ったテーマの演奏で始まる。一度聴いただけでこのフレーズだけは憶えてしまうほど強烈だ。続いて、力強いサックスのソロに入り、再びトランペットのソロ。2ホーンの楽器から出るこの音色の差が演奏をおもしろくし、感動を更に大きくしてくれる。そして、デューク・ジョーダンのピアノ・ソロへと移っていく。

カルテット、クインテットといった楽器が多くなったときの演奏の楽しみはなんといってもそれぞれの楽器のもつ音色と演奏、それにアレンジだ。曲の中間でのソロの場合はアドリブ演奏が聴きどころ。ケニードリュ−もメロディメーカーだったがこのデューク・ジョーダンも負けずと劣らない。必携盤。

BLP4080
BST84080

SOUL STATION
BLP4031
BST84031

何年か前まではよくこんな格好の若者達が路上のヘリでたむろしていたのを思い出す。ひょっとしたらこのころのジャズメン達が先達ではなかったのか? 冗談はさておいて、ブルーノートの人気サックス奏者、ハンク・モブレ−のリーダーアルバム「ワークアウト」。彼は1960年から61年にかけてなんと3枚ものリーダーアルバムを出しています。

この「ワークアウト」は1961年の3月の録音。今までと違うのは、メンバーにギターを持ってきたことです。それまでは、ピアノトリオにホーンをいれたワンホーンカルテットだったりしてたのです。ギターが加わったことにより、同じ彼のアルバム「ソウル・ステーション」「ロールコール」といったアルバムとはだいぶ趣が変わったのです。

メンバーはハンク・モブレ−(ts)、グラント・グリーン(g)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)のクインテット構成。最初の曲はタイトル曲の「ワークアウト」、彼自身の曲で、ドラムのイントロからぐいぐいと吹きまくるアップテンポのバップ・ナンバーだ。印象的なフレーズはないがまじめに吹いているところがいいんじゃない。バックでドラムが元気よく叩く。また、グラントのギターがすごい。切れのいい、ノリのいい、ぐんぐんという、スピードのあるプレイだ。そしてピアノソロへと移っていく。最後はだめ押しのドラムソロ、フィリージョー・ジョーンズのすごいドラミングが聴ける。

演奏パターンはきまっているがそこのところがおもしろい。そしてテーマへと戻る。モダンジャズ時代の典型的なAABA構成。個人的にはこういった演奏が好きだ。七面倒くさい分析的な聴き方じゃなくって、リラックスしながら音楽に浸ることが出来る。また1960年代に入るとフリージャズが台頭し始めるのだが、やっぱりモダンジャズがいい。

次の曲は「アー・ハー」、掛け声か?リズムに乗って、軽やかに短い反復のリフで始まり、サックスのソロに入っていく。このソロがすばらしい、かなり長いソロだ。グラントのギターもいいノリでの演奏だ。そのあとはウィントン・ケリーのピアノソロ、そしてベースのソロときっちりと、演奏をして行く。先ほども書いたが、この単純な構成の演奏がいい。他に「スモ−キン」「ザ・ベスト・シングス・イン・ライフ・アー・フリー」「グリージン・イージー」の計5曲を収録。このときはあと1曲「スリー・コインズ・イン・ア・フォンティン」があったが、これは別のアルバムに収録されたようです。

BLP4032
BST84032

隠れ名盤の紹介です。サックス奏者、ソニー・レッドのアルバムで「アウト・オブ・ザ・ブルー」。彼自身の初めてのリーダーアルバムで全曲がワンホーンによるごきげんなアルバム。ソニー・レッドという名前はほとんど聞かれませんでした。吹き込み回数が少なかったといえばそれまでですが、運とチャンスがなかったのかもしれません。このアルバムは1959年12月と1960年1月の2回にわたって録音されました。全部で15のティクがあったようですが、その中から、8曲が収録されています。

1曲目は、「ブルースヴィル」。アルト・サックスによるパーパ・パーパという特徴あるリフから入っていきます。なかなかきれいな音色でアート・ペッパーに似ているかな。メロディーがあって親しみやすい曲だ。同じサックスでも演奏する人によってずいぶんと音色が変わるもんです。もちろんメーカーが違うこともリードやマウスピースといったパーツでも変わるようです。

サイドメンが豪華。いいノリで、すぐに演奏に引き込まれてしまいます。サイドメンの演奏もこれまたいいんです。ピアノがウィントン・ケリー、ベースがポール・チェンバース、そしてドラムがロイ・ブルックス。6曲目までがこのメンバーでの吹き込みで、のこる2曲が、1月の録音で、ベースがサム・ジョーンズ、ドラムがジミー・コブとなっています。

2曲目の「スティ・アズ・スウィート・アズ・ユー・アー」は美しいバラードだ。3曲目はやや、アップテンポで、これも親しみやすい曲の演奏だ。他に「ナディア」、「ブルース・イン・ザ・ポケット」、この曲なんかヒットしてもおかしくないぐらいだ。そして「アローン・トゥー・ロング」と続く。7曲目の「ザ・ロープ」、8曲目の「スターウェイ・トゥー・ザ・スターズ」邦題が「星への階段」と付いているみたい。録音の日にちが違うため、前の6曲とは録音バランス(各パートのレベル・定位感)が変化している。録音そのものは12月のほうがいい。全曲通して良き時代のモダンジャズが堪能できるアルバムだ。

BLP4012
BST84012

 

BLP1594
BST81594

ルー・ドナルドソン、サックス奏者である。彼のリーダーアルバムでスリーサウンズとの共演のアルバム「ルードナルドソン・ウィズ・スリーサウンズ」。1959年2月の録音アルバム。ブルーノートの1950年代の人気サックス奏者である。ところで、ジャズではよく、〜派という言葉が聞かれる。各アーチストは、自分の演奏する楽器と共に、その演奏スタイルが、先輩や先人達の影響を受け、表現が似てくるところからそういわれるようになったのかもしれない。

私にとっては、そんなことはどうでもいい。分析しても意味がないからである。なんでもそうであるが、始めは影響なり、模倣があっていいと思うし当然だ。芸術も製造もそうだ。大事なのはいかに、そこからオリジナル性を持ち、アピールして、世の中に受け入れられるか、じゃないかな。

彼、ルー・ドナルドソンもパーカー派といわれている。渡辺貞夫さんだってそうだった。サックス奏者にとってチャーリー・パーカーの吹くサックスはバイブルだった。1950年代も終わりになるとジャズの形態も枝葉が広がってきて、ファンキー(グルーヴ感があってノリのいい演奏)路線やフリージャズ的な動きがでてきたときである。長い間、ひとのところにとどまっていられないのがアーチストである。斬新さを求めて、変化をつけて、と、進化しようとする。ただ、それらは必ずしも進化にはつながらないときがあるようだ。

ルー・ドナルドソンもこのアルバムを出す前に、「ブルース・ウォーク」1958年7月録音、というファンキー路線でヒットしたアルバムがあった。まじめに聴くとき(音楽性?芸術性?でアーチストを追及する)は、どっちかというとバップもの、気軽に聴くときはファンキーもの、ジャズが好きな人には、こんな感じが誰にであったのかもしれない。しかし、このアルバムでは再びバップになっている。ファンキー路線で進むかに見えたが一気には行けなかったようで模索状態だったのか?しかしこの後の彼は再びファンキー路線を走っていく。

タイトルがLD+3となっていて、スリー・サウンズとの共演である。自分の曲が2つ入っている。2曲目の「スムース・グルーヴ」と5曲目の「ジャンプ・アップ」である。それ以外に、「スリー・リトル・ウーズ」「ジャスト・フレンズ」「ブルー・ムーン」「ドント・ティク・ユア・ラブ・フロム・ミー」そして最後はパーカーの「コンファーメーション」で締めくくる。ルー・ドナルドソンの魅力とリーダーに負けないぐらいの、スリーサウンズの演奏も聴けるいいアルバムだ。

いかがでしたでしょうか?ブルーノートの4000番台のアルバム。始めのほうを中心に紹介しました。皆さんそれぞれに4000番台に対して、今までの思いがあったことと思います。私の思いはこんな感じだったのです。すべてのアルバムを持っているわけでもないんで、聴いているアルバムからの一部の紹介になってしまいました。現在のジャズ演奏から比較するとすごくゆったりして聴きやすく、おしゃべりしていてもじゃまにならず、和み系の演奏に思えてしまいます。4ビートっていいなってつくづく思ったのでした。