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VOL.53 |
あがりこの森の中で リトル・ジャイアント「ジョニ−・グリフィン」 |
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当日のメンバー 中本 マリ(vo) |
6月のある日、中本マリさんのコンサートがあった。酒蔵、末廣の嘉永蔵でのコンサートである。最近彼女は頻繁に会津にきている。ここでのコンサートも2回目である。 来場者を見渡すとなんと半分は女性である。圧倒的に男性のほうが多いと思ったのだが意外であった。酒蔵だけにワン・ドリンクと称して冷酒の小ビンがついてくる。お代わりは\300で販売され、前にいた女性はぐいぐいと続けて2本もやり、けろっとしていた。負けそう。 夏だけど逆に「枯葉」からコンサートは始まった。前半は7月に発売になるという新しいアルバムのなかからの曲の紹介があり、後半はバイ・バイ・ブラックバードやオン・ザ・サニーサイド・ストリート、といったスタンダードもの、そして、PAのマイクを使わないでの熱唱、テネシー・ワルツとベテランならではの余裕と充実のコンサートになった。 また、サイドメンの中牟礼さんはメンバー最長老だがタメを持ってスイングするギターを聴かせ、ベースの岡田さんはチビチビと冷酒をやりながらリズムを刻み、ドラムの村上さんは暑い中ブラシ・ワークと切れのいいドラムを聴かせてくれました。 |
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「あがりこ」って知ってますか?私がこの言葉を聞いたのが6年ぐらい前のことでした。現在の写真クラブに入る前のことです。当時、オーディオも趣味としていた写真クラブのメンバーの一人から聞いたのがはじめてでした。「あがりこ」?なにそれ?といった具合である。そのころはまだインターネットも始めてなかった時で情報もとれずにいたんです。あらためて聞いて知ったのが、秋田の鳥海山麓で見られるブナの奇形樹をさす地元での言葉でした。そしてそのときに見せていただいたのが、これがブナの木?と思わず口にした写真であった。
一度は目にしたい、写真にとってみたいと思いつつなかなかチャンスが来ないでしまっていたのですが、今月は思い切って出かけてきました。会津若松から約350km、クルマで5時間はかかります。幸い、東北中央道、山形道と道路が整備されつつあり、ドライブもだいぶ楽になってきました。 午後9時ごろ出発して象潟の道の駅に着いたのが夜中の1時ごろ、車の中で仮眠して「あがりこの森」のある中島台へ行く途中で「奈曾の滝」を写真にとろうと寄り道をして、長い階段を下りていったら最期の石段で滑ってしまい左側の腰をしたたか打ってしまいました。ザックを背負っていたのでそれがクッションにもなりそれほどのダメージには至らなかったのが幸いでした。それでも3日ほど痛かったなあ。 そんな中で目的地へ着き、そこからは1時間弱を歩きます。左の写真にあるような森が続きます。なんとしても「あがりこ大王」だけは見ておかないと、こんな思いがあったんですね、腰の痛みはそれほどでもなく、たぶん明日あたりから痛みが来るんではないか?そんなことを思いながら一人、シトシトと雨の降る森の中へと入っていったのです。もちろんクマ除けの鈴を鳴らしながらです。 そして見たものは左の真中の写真のような、なんと表現したらいいのか、以前に写真で見せてもらったことのある200〜300年は経とうという巨大な変形・奇形の木でした。下側だけ見るととてもブナとは思えません。目線を上のほうに移動するとようやく、ああ、やっぱりブナだと思えるようになるんです。 まさしく大王の名にふさわしく巨大なブナで見る方向によって印象が変わってきます。この森はこんな形のブナがいっぱいあり、ちょうど霧が出てきてその光景は、おどろおどろしく、もののけが出てきそうな異様な感じとともに、SF映画に出てくる異次元の世界に迷い込んだような感じを受けます。普通ブナはスラーッと上に伸びて大木になるんですが、なぜ、このようなブナになったのかは諸説があるようです。「あがりこの森」の写真を掲載しています。 ここから更に奥に行くと鳥海マリモのある湧水池に至るわけだが、時間がなくなり、腰の心配もあって断念し帰途に着いた。 |
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先ほどは森の巨人の話題でしたが、今日は、日本人並の身長から、それでいて豪快なサックスのブローを聴かせるところからジャズのリトル・ジャイアントと呼ばれているサックス奏者、ジョニ−・グリフィンのアルバムからです。ジャケットも森の中での写真になっています。アルバムタイトルは「ザ・ケリー・ダンサーズ」。メンバーはバリー・ハリス(p)、ロン・カーター(b)、ベン・ライリ−(ds)からなる魅力のワンホーン・カルテット構成。
さっそくそのタイトル曲から聴いてみましょう。豪快で太いテナーサックスが聞かれます。ベン・ウェブスター張りの伸びのあるサックスの音が、またその音色もなめらかで心地よくなります。アイルランドの民謡といわれる特徴のあるフレーズが繰りかえし出て来て印象に残ります。ベースのソロとピアノのソロが途中で入り、再びグリフィンのテーマの演奏でエンディングとなる。最期のところでユーモアたっぷりのフレーズが入り笑わせます。 2曲目がチョッと長いタイトルで「ブラック・イズ・ザ・カラー・オブ・マイ・トゥルー・ラバズ・ヘアー」、なかなかいいメロディーのしっとりと来るバラードだ。ピアノのイントロがわずかに入りすぐにグリフィンのゆったりとした演奏で入っていき途中からはやや、アップテンポ気味になりいつものグリフィン節で歌い上げる。それにしてもなかなかメロディアスでスイングあふれた演奏でごきげん。3分ぐらいのところでピアノのソロが入る。このピアノもいいんです。こってりしたサックスの演奏に清涼感を吹き込んでくれるんだ。最期はビブラートをかけながらのゆったりとしたソロで終える。 4曲目はおなじみの「ザ・ロンドン・ディリ−・エア」、ダニー・ボーイである。多くのヒット曲がある中での彼のオリジナリティーがどのようにでてくるのかが聴きどころ。サム・ティラーやシル・オースチンとちがって意外に軽く演奏していて、重くならないところがいい。バックのピアノも良いからか? そして、このアルバムのハイライトはこの曲です。かれがライブでのエンディングで演奏したという「ハッシャ・バイ」。リズミカルなピアノのイントロからグリフィンの軽快で豪快なスイングするサックスが聴ける。メロディーが単純ですごく印象に残る。アドリブ部は独壇場、そして、あいだに入るピアノがほんと、さわやか。めずらしくロン・カーターのベース・ソロも花を添える。それからサックスが再び一気に吹き上げる、この段差がいい。再びテーマに戻ってのエンディングとなる。 |
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次に紹介しますのが、彼のニックネームがそのままアルバムタイトルになった「ザ・リトルジャイアント」。前出の「ザ・ケリーダンサーズ」ではバラード物が中心でしたが、ここではガラット変わってパワーあふれる演奏です。それもワンホーンではなく3ホーンなのでエキサイティングな演奏ばかり、たっぷりハード・バップの世界をたん能できます。
メンバーはジョニ−・グリフィン(ts)、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュリアン・ププライエスター(tb)、ウィントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、アルバート・ヒース(ds)。3人のフロントラインがどんな演奏を聴かせるかが魅力です。 最初の「オリーブ・リフレクション」、ベースのプンプンというイントロから一気に3人によるパパパパパ−というユニゾンで盛り上がります。録音はスピーカーより若干後ろに下がって聴けます。ホーンの輝きとピアノのコロコロという対比とともに、ソロパートはトランペット、テナーサックス、トロンボーンという順に展開。リードはサックスが取っていきトランペット、トロンボーンが続きます。スピードがあってスリリングな展開がホーンの魅力を倍加させています。 2曲目の「ザ・メッセージ」も同様な展開でトランペットとトロンボーンの位置が逆になってのエネルギッシュな演奏。途中ではピアノソロが大きくフィーチャーされ演奏に緩急をもたらしてくれる。3曲目の「ロンリー・ワン」になるとどこかエキゾチックなリズムにのったグリフィンのワンホーンの魅力いっぱいのバラード演奏だ。と思った瞬間、一気にアップテンポで吹き上げる。ここではドラムのソロとリズムが一種の官能的な感じを醸しだしている。6曲目の「ビーナス・アンド・ザ・ムーン」、ここでも3ホーンによるユニゾンとセッションが楽しめます。いずれもリトルジャイアントの名前の通り彼の演奏が存分に楽しめるアルバムです。1959年の録音。 |
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続いてのアルバムもまたグリフィンの魅了がいっぱい、それもブルー・ノート吹き込みで当時のそうそうたるメンバーが繰り出していて目いっぱいハードバップが楽しめます。アルバムタイトルが「ア・ブローイング・セッション」。メンバーはジョニ−・グリフィン(ts)、リー・モーガン(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、ハンク・モブレ−(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレーキー(ds)。
1曲目はスタンダードで「今宵の君は」。グリフィンの圧倒的なブローによるテーマから始まってリー・モーガンのハイスピードのトランペット、そしてアート・ブレーキ−の雷ドラムがバックからグングンと持ち上げるようでスリリングな演奏でいっぱい。コルトレーンのソロがすごい。まるでリードからつばが流れているようだ。次にソロをとるリー・モーガン、これも負けずに吹きまくる。これがバップ・ジャズだ!再びグリフィンになってテーマのソロをとる、バックのジャンジャンというドラムが追い討ちをかける。すべてがハイ・テンションのこの迫力の演奏を聴くと誰しもが脱帽することだろう。 これだけホーンが揃うとどのホーンが誰のものか迷ってしまいそう。何回か聴くうちに、演奏のくせと楽器の音色で自然につかめるようになるもんです。 つぎがグリフィンの曲で「ボール・ベアリング」そして3曲目は、スタンダードの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」。ミディアムテンポでの演奏はグリフィン、コルトレーン、リー・モーガン、ハンク・モブレ−と引き継がれていく。いずれも1曲目同様、テンションの高いスリリングな演奏だ。ウィントン・ケリーのピアノとポール・チェンバースのソロになって聴いていてホット一息つきそうになるんだが、つけない。 最期は「スモーク・スタック」。グリフィンの曲だそうでピアノのきれいなイントロから始まってユニゾンでの演奏に入っていく。曲は良くわからないが、かなり変化のあるフレーズが続く。コルトレーンに勝るとも劣らないグリフィンの演奏でいっぱい。セッションならではのお互いを意識した力の入った演奏はすばらしい。リー・モーガンのトランペットの輝くプレーも聴きどころだ。少し硬質のサックスを聴かせるコルトレーンの堂々たるプレイ、ここでもピアノ、ベースと続いての短いソロの展開がある。そして最期は再びグリフィンの演奏にピアノが絡んでテーマに戻っていく。 |
| 2003年7月 | |
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