おとなのジャズとおとなのオーディオ

 

 

東北の南にA市という街がある。 その街にジャズとオーディオと酒の好きな男がいた。 これは、その男のつぶやきとささやきとひとり言である。

VOL.69

BEST AUDIOPHILE VOICES  V
ベスト オーディオファイル ヴォイセス V


 

A Hundred Miles or More: A Collection

Noon「500マイル」

「camomile classics」

Janet Seidel

 Emilie-Claire Barlow

Eva Cassidy:ジャズクラブ/ブルースアレイの入り口で。

  

Lee Lessack & Susan Egan

Roberta Gambarini

 

 Loving You - Marcela

Kimber Manning

 

Ilona Knopfler
 


今をときめく女性ジャズ・ボーカリスト達のオムニバス・アルバムです。ファーストから集めていたんですが、今回はバラード特集ですのでまたまた買ってしまいました。 「BEST AUDIOPHILE VOICES  V」です。

これまでは輸入盤の通常CDとXRCD(VOL.1のみ)でも発売されていましたが、今回は輸入盤の通常CDです。それでも24ビット/192kHzのハイサンプリングでのリマスターですので音質にも期待しました。

1曲目はアリソン・クラウスのアルバムA Hundred Miles or More: A Collection 」から「Get Me Through December 」です。今までもオーディオ・ファイル向けのアルバムを多く出していました。

内容には全然関係ないんですがこのアルバムのジャケットはグットです。海辺を歩いているところですがミニスカートをはいて今までのジャケットとはえらい違いがある。

彼女は子供のころから音楽に親しみデビューも早かったそうだ。 バイオリンを持って唄うのかなと思ったら違いました。すごくきれいな声ででカントリーっぽい歌いかただ。
 

Noonの3枚目のアルバム「Smilin’ 」から「500マイル」。40年ほど前にピータ、ポール&マリーが歌って大ヒットした曲です。a hundred miles のリフがよみがえってきます。 人気があるわりにデビューアルバムからゆっくりとしたペースで次のアルバムと制作しているようで好感が持てます。

つややかな声の中にどこかあったかさがあり、ジャズを中心とした作品が多いようですがポップスにも幅を広げているようです。 うまいというほどではないんですが丁寧に歌っていることと若いわりに穏やかな声質とおとなの歌が一般に受け入れられているんでしょう。バックのピアノとベースのバッキングがボーカル を浮きあがらせています。


藤田恵美の「ザ・ローズ」はアルバム「camomile classics」からです。アコースティック・ギターだけのシンプルさがすごく新鮮です。 なぜか最近はオーディオ専門誌にも登場したりとすっかりおなじみになってしまった。アマンダ・マックルーブに勝るとも劣らないしっとりした歌がいい。どこか前出のNoonに似たところもあるようだ。(こちらのほうが先輩ですのでNoonが似ているのかな)彼女はアジア諸国でも人気があるという。
 

「ユーブ・ゴット・ア・フレンド」はキャロルキングの歌で大ヒットしました。若干ハスキーさとかわいさのあるスティシー・ケントの歌声はしっとり情感たっぷりと歌い上げています。いつ聴いてもいい曲だ。バックのコンガのリズムも心地いい。 サックス奏者で、ご主人のジム・トムリンソンとのデュオ・アルバム「ジム・トムリンソン・フィーチャリング・ステイシー・ケント」もぜひ聴いてください。ジャズ・スタンダード、ボサノバ中心のアルバムです。
 

サリナ・ジョーンズはベテランだけに何を歌ってもうまい。しかしなんかすべての歌が一本調子に、同じように、聴こえてしまうのは私だけか。 それとも今まであまりにも聴きすぎたせいか。
 

ジャネット・サイデルはオーストラリア出身の歌手で最近かなりの人気があるようです。彼女の歌を聴くとなぜかジューン・クリスティを思い出します。どこか似ているところがあるのかな。「ユー・ビロング・ト ゥ・ミー」いい曲ですね。かつてカーリー・サイモンの歌で知られます。 そしてバックのミュートの聴いたトランペットとサックスはおとなのジャズだ。

CARLY SIMON/YOU BELONG TO ME                     THE ART OF LOUNGE

曲によって、ささやくようにまたしっとりと聴かせる彼女の歌、人生を経たおとなの雰囲気でいいですね。 (声だけ聴くと年齢不詳です) 変に気負わなく軽く感じる歌い方には、聴く人によって感じ方がいろいろあるとは思うんですが、重くならず凄みなんてこれっぽちもない彼女の歌心はジャズが明るく楽しいものになります。

そういえば彼女のことは、かの有名な寺島氏も絶賛していますね。これには私も大いに賛同します。 今年の「富士通スペシャル ジャズ・エリート2008に来日しますね。
 

「ブレイム・イット・オン・マイ・ユース」 は今、めきめきと売り出し中のカナダ出身の美人歌手エミリー・クレア・バーロウのアルバム「ライク・ア・ラバー」からです。このハスキーな声で耳元で歌われたらたまんないですね。とくにブレスのときは悩ましい。ましてアルバムのジャケット写真はナイス・バディーときてますのでなおさらです。う〜ん、いかん、変な想像、妄想が出てきそうだ。

8曲目は、エバ・キャシディ(エバ・カシディ)の「Live at Blues Alley 」から サイモンとガーファンクルのカバーで「Bridge Over Troubled Waters」です。じつは彼女はすでに亡くなっています。なんと33歳の若さでした。ジャンルを問わないアーチストでその澄み切った歌声は亡くなったあとに開花したのです。

Lee LessackSusan Farrell Egan この二人のデュオはバート・バカラックの「ザ・ルック・オブ・ラブ」ですが二人の肝心なことは不明です。超ハスキーでなんとも悩ましいデュオです。
 

次はボサノバです。Bizarre Love Triangleを唄っているのはリアーナ・レポラーセといい、なんとセルジオ・メンデスの奥さんの妹だそうです。ボサノバも世代交代が進んでいるみたいです。
 

Smoke Gets in Your Eyes/All the things you are」は今一番輝いている女性ボーカリストのロバータ・ガンバリーニです。ファーストアルバムの「イージー・トゥ・ラヴ 」で新人上位ボーカル賞をとった実力の持ち主。この「BEST AUDIOPHILE VOICES  V」のなかでもトップクラスと思える。邦題「煙が目にしみる」だが、しっとりと情感たっぷりに歌い上げる。安心して歌に浸れます。彼女もまた「富士通スペシャル ジャズ・エリート2008で、各地で歌を披露してくれます。
 

A Groovy Kind of Love /Jheena Lodwick・・・オーディオファイルにはおなじみの大人気ボーカリストです。

「ラヴィン・ユー」を唄っているのは「ミルク・ボッサ・プレゼンツ・マルセラ」からマルセラのボサノバです。きれいでかわいい声です。ボサノバ新世代の代表になるのか。

最後はオーディオファイルにもおなじみのイロナ・ノップラーのアルバム「Some Kind Of Wonderful」から「アルフィー」です。

今回もたっぷり女性ボーカルを堪能しました。それもおとなのボーカルです。 ヒーリング・ミュージックに通じるところがあって充分に癒されます。1曲ずつのサンプル盤的な意味もありますので、アルバム名を書いておきましたので参考に各ボーカリストの本来のアルバムを楽しむのもいいでしょう。


1. Get Me Through December - Alison Krauss & Natalie Mac Master
2. 500 Miles - Noon
3. The Rose - Emi Fujita
4. You’ve Got a Friend - Stacey Kent
5. I Don’t Want To Miss a Thing - Salena Jones
6. You Belong to Me - Janet Seidel
7. Blame It On My Youth - Emilie-Claire Barlow
8. Bridge Over Troubled Waters - Eva Cassidy
9. The Look of Love - Lee Lessack & Susan Egan
10. Bizarre Love Triangle - Marianna Leporace
11. Smoke Gets in Your Eyes - Roberta Gambarini
12. A Groovy Kind of Love - Jheena Lodwick
13. Loving You - Marcela
14. What a Wonderful World - Kimber Manning
15. Alfie - Ilona Knopfler

 

リマスター盤から


モービル・フィディリティからこのたび発売されたSACDハイブリット・ディスクからアート・ペッパーの「ザ・ウェイ・イット・ワズ」です。このアルバムは1957〜1960年までのペッパーの四つのアルバムから編集されたもので 70年に発売されたものです。ステレオ盤で録音はロイ・デュナンでグット!

なんとこのアルバムは限定盤でナンバーが入っています。「NO.719」でした。このアルバムもアナログ・デスクでは 持っているんですが、ニュー・リマスタリングというキャッチ・フレーズに踊らされて買ってしまいました。

好きな演奏のひとつが「オータム・リーブス 枯葉」です。ペッパーを好きだ!という人は(男と女の間の好き嫌いではない)私も含めて、アルト・サックスのつややかで伸びのある音色ではないだろうか。もちろん演奏そのものは言うまでもありません。

左のスピーカーからはテーマをペッパーのサックスがパリの哀愁をうたいあげる。ベースがブンブンとバックでリズムを取っています。このあとアドリブに入っていきます。右側からはフランク・バトラーのダン・ダンと迫力のドラムが、そしてベースがきっちりとリズムを刻み、左からはドロ・コカーの迫力と華麗なピアノのフレーズだ。そして再びテーマの演奏でフェードアウト。

「ザ・マン・アイ・ラブ」では、ピアノがガーランド、ベースがポール・チェンバース、ドラムがフィリー・ジョー・ジョーンズです。ここではアルトとは思えない太い演奏が聴かれます。出だしはスリリングなドラムです。そしてすぐに、かなりアップテンポでのサックスがテーマの演奏です。かなり力の入った演奏です。ピアノ、ベース、ドラムの順でソロを演奏しテーマに戻ります。これぞワン・ホーンの極地。

「ホワッツ・ニュー」非常に美しい曲でそれに見合ったすばらしい演奏が聴かれます。ピアノがロニー・マーシュ、ベースはベン・タッカー、そしてドラムがゲイリー・フローマー。ゆったりとメロディアスなピアノのバースからサックスがテーマに入っていきます。高音部にかけてつややかに伸びやかに演奏するこのサックスの音色がたまらなくいいですね。なんといっても色気があります。その間は、ベース、ピアノ、ドラムが静かにバッキング。

アート・ペッパーのアルバムの中では比較的マイナーなアルバムですが中身は超一級です。

1.I Can't Believe That You're In Love With Me
2.All The Things You Are
3.What's New
4.Tickle Toe
5.The Man I Love
6.Autumn Leaves
7.The Way You Look Tonight
8.I Can't Believe That You're In Love With Me (alternate take)
9.All The Things You Are (alternate take)

 


ブルーノート・レーベルを代表する超有名盤「サムシン・エルス」をあらためて聴いてみました。え?いまさらなんで?と、おっしゃるかもしれませんが、じつは、ザ・ルディ・バンゲルダー・エディションとして再発されたもので、輸入盤のほうです。

なんか目新しいのが出るとついつい買ってしまうのが、ジャズを好きな性か癖のようで、今回もそうでした。CMのキャッチコピーに踊らされて、ウキウキして帰ってくるんです。そのたびに、今回は当たりとかはずれなんていいながら結局は楽しんでいる自分がそこには、いるのです。

このアルバムはキャノンボール・アダレイがトップに名前を載せています。本来はマイルスのアルバムになっているわけですが、レコード会社との契約上の理由があったみたいです。

何が変わったのかなと、CDをプレイしますと「枯葉」の出だしから違いました。音の厚み、エネルギー感が今までと違います。サウンド全体が太くなってアナログレコード的な感覚です。マイルスのトランペットがつややかでキャノン・ボールのサックスも太く、アート・ブレイキーのシンバルやブラシもしっかり 聴けます。ハンク・ジョーンズの演奏の終わり近くのソロがこれまたいい、ピアノの鍵盤をたたく音もリアル。

CDの最近のサウンド傾向は限りなく、いいアナログサウンドのように芯があり太くなってきていてオーディオ的にも楽しめるようになっています。これは当たりでした。
 

2008.4                     記載に誤りがあった場合はご容赦ください。またご指摘ください。

 

目次へ戻る

おとなのジャズとおとなのオーディオ 表紙へ